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第3号議案 豊島区介護保険条例の一部を改正する条例の可決に反対
2021.03.23

 第3号議案 豊島区介護保険条例の一部を改正する条例の可決に反対の立場から討論します。
 今議案は、介護保険法の規定に基づき、国による基準所得金額の見直しや、2021年度から2023年度の第8期介護保険事業計画期間における介護給付見込み額を踏まえ、保険料を決定するとしています。
 8期の介護保険料は所得段階を16段階に分け、第5段階の保険料を基準額として、保険料の割合をかけ各段階の保険料が決定されています。
 では来年度、第8期の保険料はどうなるのでしょうか。
 第5段階の基準額は、今年度、第7期の保険料月額6090円、年額73,080円が、第8期では月額6,200円、年間74,400円と引き上げられました。また、国による第8期計画期間基準所得金額の変更により第7段階の保険料は今期91,440円が来期は89,280円と2,160円下がりますが、結局、第7段階を除く15段階すべての段階の保険料が上がることになります。
 改めて資料をみますと、所得が最も低いとされる第一段階、世帯全体が非課税で所得が80万円以下、保険料軽減が実施された場合でも8期の年間保険料はなんと22,320円です。
 これではどうみても保険料は高すぎます。
 さて2000年に「介護の社会化」と言われ、行政の措置の介護から契約の介護となり、国民にとって必要な介護が受けられると大宣伝されたのが介護保険です。
 委員会で「介護の社会化」とは何かと質すと、区は「家族介護から地域のほうで公的な取り組みによって介護からの落ちこぼれる人を無くす方向であり」「地域において広域的な取り組みを自治体すなわち区も取り組み、介護から落ちる人を救う事が介護の社会化」との答弁がありました。
 しかし、この間、介護保険では、総合事業が導入され要支援1,2が介護サービスから外されまた介護報酬の見直しで施設の食費が有料化され自己負担が増える、特養の入所基準が介護1から介護3以上になるなど、20年間で給付が大幅に狭められているのです。しかも反対に保険料は上がり、さらに利用料は所得に応じて1割から3割までの負担となっているのです。これでは区民が安心して介護が受けられない状況を作り出しているという事です。
 区の介護保険被保険者は5万8千人強ですが、先ほど示した保険料区分第一段階の人は1万5700人を超えています。
 今、国民年金は、40年間満額保険料を払っても年間78万1700円しか給付されません。
要は高齢者の生活実態は厳しいという事です。
 こういう中で、誰もが必要な介護を受けられるためには、保険料の引き下げや利用料の引き下げは待ったなしです。今回、コロナ禍の下で、世田谷区は保険料の引き下げを行いました。また4区が保険料の据え置きをしたと聞いています。
 区は基金24億円のうち5億円を取り崩し保険料引き下げに投入していますが、これでは足りません。
 ところが区は「区の人口推計に基づき、後期高齢者人口は2015年を100人にした場合、2045年は144人となり、今後、介護保険制度を維持するためには、それ相応の負担はご理解いただきたい」との答弁です。

 今、コロナ禍で在宅では「状態が悪い」、施設では「面会ができない」等いろいろな状況が起きています。要は介護を受ける人、その家族、そして介護従事者も今まで経験したことが無い状態に置かれているという事です。
 コロナ収束後、介護の需要が上がる可能性もあります。区は保険者として「保険あって介護なし」とならないよう区民にとって必要な介護を提供するためには基金の更なる取り崩しが必要です。
 また、委員会でも発言しましたが、自治体単独での頑張りでは限界があるという事も事実です。保険者は区ですが、国が責任をもった「介護の社会化」を実現すべきです。
 質疑で副区長は「区民目線でしっかり事業をやりながら、必要なことは国や都に対し意見する」との答弁がありました。常に区民目線で制度を見て、きちんと国や都に意見を上げることを改めて求めます。

 今回の介護保険料の値上げは区民にとっては大変深刻です。よって、第3号議案 豊島区介護保険条例の一部を改正する条例の可決に反対し、討論を終わります。

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