HOME「再審法改正の進を求める意見書の国会・政府への提出を求める陳情」「再審法改正の促進を求める意見書を国会・政府に提出することを求める請願」採択求める討論をしました  儀武さとる【12/3】
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「再審法改正の進を求める意見書の国会・政府への提出を求める陳情」「再審法改正の促進を求める意見書を国会・政府に提出することを求める請願」採択求める討論をしました  儀武さとる【12/3】
2024.12.06
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 私は、日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題となっております、6陳情第20号、再審法改正の促進を求める意見書の国会・政府への提出を求める陳情、合わせて審査された5請願第3号再審法改正の促進を求める意見書を国会・政府に提出することを求める請願について、継続審査とせず、直ちに採択をすべき立場から討論します。

 6陳情第20号 は、9月26日、静岡地方裁判所が、袴田巌さんに無罪判決を言い渡し、証拠捏造についても認定されたことを受けて、改めて、再審法を速やかに改正することを求めるものです。その内容は、⑴過去の著名な再審事件において証拠開示が不十分で、著しく遅かったこと、⑵再審に関する手続き規定が刑事訴訟法にほとんど置かれていないこと、⑶除斥・忌避が再審に適用されないことは公平性を欠くこと、⑷検察官抗告による手続きの長期化などについて、見直し意見書の国会・政府への提出を求めるものであります。陳情代表者他1,266人の署名となっています。

 袴田事件で袴田さんは、無罪が確定するまで死刑確定から44年間、最初の再審請求から43年もの長い時間がかかりました。捜査機関の証拠捏造によって、無実の一般市民が死刑囚にされ、日々死刑執行の恐怖にさらされてきた。民主主義国家であってはならないことです。この国で起きていたことに司法関係者のみならず、すべての国民がわがこととして目を向ける必要があります。
 なぜ、これほどの再審に時間がかかるのか、現在の再審制度に大きな問題があるからです。実は、「再審法」という法律はありません。刑事訴訟法第4編の再審に関する規定をさしています。500条を超える刑事訴訟法のうち再審手続きに関する規定は、わずか19条にとどまっており、再審手続きのルールはほとんどありません。そのため再審事件の審理の進め方は、その事件を担当する裁判官の取り組む姿勢で「格差」が生じています。明確なルールが必要です。現行の再審制度の問題の一つが証拠開示のルールがないことです。

 日本では、通常の刑事裁判でも全部の証拠は開示されません。国家権力である検察や警察は、税金やマンパワーを使って、地引き網みたいに証拠をさらいます。しかも被告人にとって有利な無罪証拠があっても、裁判所に提出されない。検察官が、有罪を立証するのに必要な証拠だけを選んで裁判所に提出するからです。再審は、被告にとって不利な状況からのスタートとなります。証拠開示のルールがないため検察官は自分達に不利な証拠は出さない。袴田事件でも検察官が持っている証拠出せ、と何度も弁護団が証拠の開示請求をしました。その結果、死刑確定から30年も経って、証拠の一部開示が実現しました。その中に再審開始の決め手となった「5点の衣類」のカラー写真がありました。もっと早く開示されていたら、袴田さんは何十年も前に自由の身になっていたと思います。証拠開示の法制化だけでなく、記録や証拠保管の規定も整備すべきです。

 また、再審開始決定に対する検察官による不服申し立て(抗告)の問題などもあります。
大崎事件では、3回も裁判所が再審開始を決めたのに、その都度、検察官が抗告をしました。その結果、未だに再審が開始されていません。冤罪被害者の早期救済のためにも抗告を禁止すべきです。不服があるなら検察は再審公判で主張すべきです。

 再審に関する国の検討状況は、改正「刑事訴訟法に関する刑事手続きのあり方協議会」(以下「協議会」という。)を設置し、2016年改正刑訴法の「3年後の見直し」のため設置され、刑訴法第301条の2(いわゆる可視化条項)の施行から3年を超えた、2022年7月28日に第1回会議が開催され、以降2024年11月22日に第16回会議が開催されました。協議会開催のペース自体、緩やかで、取り調べの録音・録画の実施状況の把握ということに時間は費やされるなど、この協議会を設置した法務省において改正刑訴法の「見直し」に前向きな姿勢で臨んでいるとは、とても言えません。また、協議会で、可視化記録媒体を再生して「検証」する場を設けることに対し、法務省は露骨に消極的な姿勢を示しています。しかし、可視化記録媒体は、取り調べの運用状況、その実態を示す1級の資料です。それを「検証」せずして、協議会の目的は達成できません。
 まだまだ冤罪で苦しんでいる人、再審請求で無罪を求めている人たちがいます。この人たちの苦しみを早く解決するためにも、再審法改正の促進を求めるのは、当然ではあります。

 再審法改正の世論と運動が広がる下で、2024年3月、超党派による「冤罪被害者のための再審改正を早期に実現する議員連盟」が設立されました。敬称は省略しますが、最高顧問に自民党の麻生太郎、顧問には、山口那津男、泉健太、馬場伸幸、田村智子、玉木雄一郎、前原誠司、福島みずほ、大石あきこなど、当時各党の代表等が名を連ね、300人以上の国会議員が加入しています。議員連盟は、先ほど申し上げた、陳情の記書きの⑴~⑷の内容と、全く同じ項目で、法務省に申し入れを行っています。ですから、傍聴に参加された皆さんは、この陳情は採択されるものと期待をしていました。

 委員会審査では、陳情と請願について、共産党、立憲・れいわ、維新・無所属、無所属元気の会は、採択を主張。自民党、公明党、都民ファーストの会・国民は、「国の『刑事訴訟法に関する刑事手続きのあり方協議会』で検討中」などを理由に、継続審査を主張しました。採決の結果は、可否同数でしたが、委員長の採決で、継続審査となりました。
 以上のことから、6陳情第20号 再審法改正の促進を求める意見書の国会・政府への提出を求める陳情は、継続審査にせず、直ちに採択すべきであります。

 合わせて審査されました請願第3号 再審法改正の促進を求める意見書を国会・政府に提出することを求める請願については、要旨の内容は、ほぼ同じですが、記書きについては、1.再審のためのすべての証拠開示をすることなど、より抜本的な改正を求めるものであり、継続審査にせず、直ちに採択すべきであります。

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