私は、日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題となっております、6陳情第14号核兵器禁止条約に署名・批准を国に求める意見書提出についての陳情について、継続審査とせず、直ちに採択をすべき立場から討論します。
この陳情は、唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器禁止条約に署名・批准する意見書を国に求めるものであります。核兵器禁止条約は、2017年7月7日、国連加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で採択され、2021年1月22日から条約が発効されています。その後も、署名・批准国は増え続け、現在93カ国が署名し70カ国が批准しています。
今、世界では、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザへの侵攻で、子どもや女性、高齢者など市民に多くの犠牲者がでています。ガザでは、4万人以上の死者がでています。テレビの報道では、学校、病院、住宅の電気、水道、ガスなどのインフラも破壊され、避難生活を余儀なくされています。傷ついた子どもたちの映像をみると、本当に胸が痛みます。戦争は始まると中々終わりません。プーチン大統領やイスラエルの政府関係者は、いざとなると、核兵器の使用も辞さない、と脅迫まで行っています。他方、アメリカが核先制使用の政策をとり、同盟国と一体に「核抑止」の拡大・強化を進めていることも重大です。核抑止力とは、いざとなると、核兵器の使用を前提としたものです。核兵器の使用は、広島・長崎の惨状を想像させますが、決して許してはなりません。今、まさに危機的な状況です。日本政府は、核抑止力の呪縛から脱すべきです。また、日本政府は、核保有国と保有しない国との橋渡しをすると言っていますが、核兵器禁止条約にオブザーバー参加もしていません。
米国と軍事同盟を結んでいるドイツもオブザーバー参加しています。せめて、唯一の戦争被爆国の日本だからこそ、参加し、積極的な役割を果たすべきです。
私は、核兵器禁止条約の発効に至るまでには、広島、長崎の被爆者の当事者が、被爆の実相を広げ、「核兵器の廃絶」「核兵器を使用するな」を国内外に訴え、草の根から世論と運動を広げた地道な努力があったことを述べ、今こそ、日本政府が、核兵器禁止条約に参加して、核廃絶の国際世論をリードする役割を果たすことを強調しました。
そのためにも、23区で最も早く非核都市宣言を行った豊島区議会で、この陳情を採択すべきと主張しました。
委員会審査では、共産党、立憲・れいわ、維新・無所属、無所属元気の会が採択を主張。自民党、公明党、都民ファーストの会・国民は「核保有国と核を保有しない国との橋渡し」とか「将来にわたる安全保障と平和のバランス」などと言って継続審査を主張しました。採決の結果は、可否同数でしたが、委員長の採決で、継続審査となりました。本当に酷いものです。
ノルウェー・ノーベル賞委員会は10月11日、今年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表しました。長年の地道な活動で、被爆の実相を世界に広げ、核兵器の非人道性を明らかにし、核兵器禁止条約へのうねりをつくりだしてきた活動が認められものです。
私は、日本被団協のノーベル平和賞の受賞を心から喜びたいと思います。日本被団協のノーベル平和賞受賞のニュースは世界を駆けめぐり、「核兵器のない世界」を願うすべての人々に限りない励ましと勇気を与えています
ノーベル委員会のフリドネス委員長は授与会見で、核使用を許さない「核のタブー」を強調しました。今日、核兵器使用の手を縛っているのは、非人道的な核兵器を「悪」として「タブー視」する、被爆者を先頭につくられた世論と核兵器禁止条約の力です。
核保有国とその「核抑止力」に依存する国はいまこそ、被爆者の言葉に真摯に耳をかたむけ、人類を破局の危機から引きもどす行動に踏みだすべきです。 よって、6陳情第14号核兵器禁止条約に署名・批准を国に求める意見書提出についての陳情は、直ちに採択すべきです。