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一般質問
2021年第2回定例会「命と暮らしを守りぬき、子ども・若者の未来をつくる区政を」
2021.06.23

 私は日本共産党豊島区議団を代表して
「命と暮らしを守りぬき、子ども・若者の未来をつくる区政を」と題し、
1.区立保育園の民営化について
2.長期化するコロナ禍のもとで直ちにやるべきことについて
3.その他として、痴漢をなくすことについて、
一般質問を行います。区長の明快な答弁を求めます。

 新型コロナ禍の下で「自己責任」を押し付ける新自由主義の破綻と、社会保障、医療体制、雇用など日本社会の脆弱性がますます明らかになりました。ワクチン接種が始まっても、いまだコロナ収束の見通しも立たない中、最優先すべきは困窮する区民の命、暮らしを守り抜くことです。
 本定例会区長招集挨拶では、わが党がこれまで繰り返し求めてきた生活保護世帯へのエアコン設置補助や区独自の新生児への給付金、救援センター開設キットの導入などがあり、これについては評価いたします。ところが驚くべきことに、オリンピック聖火リレー、池袋の都市再生、池袋西口のまちづくりなど、これまで通り人を呼び込むまちづくりには熱心ですが、コロナで困窮を極める区民への支援が不十分と言わざるを得ません。
 昨日、渡辺くみ子議員が区長の政治姿勢についてオリンピック、都立大塚病院、後期高齢者医療の3点を取り上げましたが、私は保育について取り上げます。

●それでは大きな第一の質問、区立保育園の民営化についてです。
 わが党はこれまで、区がすすめる民営化は保育に対する行政の公的責任を放棄するものであること、民営化の目的が経費削減であり、結局、保育の質を下げることになると反対してきました。
 先月5/14、保育政策担当課長から、子ども文教委員に「池袋第三保育園の民営化について」という文書が個別配布されました。内容は、昨年2020年8月から全3回、民間保育所事業者選定審査会で事業者検討、審議の結果、今年4/30に「選定事業者なし」という答申がなされたこと、改めて来年(2022)4月からの民営化に向けて、5/14~6/14の期間で事業者を再公募すること、再公募にあたっては保育の引継ぎ期間を昨年の公募要項と同様、6カ月確保できるようスケジュールを組むこと、保育の引継ぎ期間確保のため、募集期間や事務処理期間を最大限見直し短縮を図ることで事業者選定の目途を7月末から8月上旬頃とするというものです。

 「選定事業者なし」とした答申の付帯意見では「公立保育所の民営化は、現在の公立保育園の保育以上の保育の質の担保と事業の実施を目指すもの」、「今後、子どもの人数等に変更が生じるなどした場合にも、保育の質が下がったり事業内容を減らしたりすることがないよう、保育士を安定的に確保し離職しない仕組みを作るなど安定的な運営ができる法人を望む」とあり、厳しく且つまっとうなものでした。
 またこの間の審査会議事録を見ますと、第3回審査会(3/22)では、保護者の追加要望として「引継ぎのスケジュールが心配。充分な引継ぎ期間を確保してほしい」「職員の平均経験年数が短い事業者は心配」「現在より保育の質が下がると困る」などの報告があり、第二次審査審議の結果、「選定事業者なし」と決定したのです。そして最後に事務局が「今後のスケジュールについては、保育引継ぎの期間を十分に確保するため、民営化を一年先送りするスケジュールを想定している」と発言しています。しかし区は答申から、わずか2週間後に再公募を実施しています。そこで質問です。なぜ区は1年先送りの方針を短期間のうちに変えてしまったのですか。お答えください。

 次に引継ぎ期間についてです。事業者公募要項には引継ぎ期間に関して「事業者として提案する事項」の中に「引継予定期間、引継方法、引継内容の具体的な提案をしてください」とあるだけで、「引継ぎ期間は6カ月」という記載はどこにもありません。しかし5/14付文書では「保育の引継ぎ期間を昨年の公募要項と同様、6カ月確保」と書かれています。
 今年4月から民営化した旧駒込第二保育園の引継ぎは当初1年の予定でした。昨年第4回定例会、民営化を審査した子ども文教委員会での保育課長の答弁、「本来は1年間かけて引継ぎの準備をしていたがコロナの影響もあり10月から約半年をかけて引継ぎをする」と言ったことからも明らかです。この時も私は短期間の引継ぎは子どもたちの成長に悪影響を及ぼし、保育現場に過重な負担を強いることになると指摘し反対しました。旧駒込第二保育園がコロナの影響で引継ぎ期間を6カ月に短縮したのを既成事実にすべきではありません。そこで質問です。「引継ぎ期間を6カ月」とする根拠は何ですか。答弁ください。
 そもそも、H26(2014).9の政策経営会議決定、今後の民営化方針では「円滑な引継ぎが行えるよう、施設の老朽化等、改修が必要となる場合を考慮し、事業者選定は、開園の3年前までに実施」としていたではありませんか。いつの間にかどんどん短縮され、3年どころか開園まで1年を切っています。さらに今回の再公募要項では事業開始時期について、「審査の過程で施設改修等が必要と判断された場合、事業開始時期が令和 5 年 4 月 1 日となる可能性があります」という文言を削除し「令和4年4月1日」に限定しているのです。こともあろうに区みずからが決めた方針すら投げ捨てているのであります。そこで質問します。コロナにより多くの制限がある中で、このようなやり方で民営化を強行すれば一番のしわ寄せを受けるのは子どもたちです。こうまでして遮二無二、民営化を強行する理由はなんですか。具体的な根拠を明確にお示しください。

 今月6/4、わが党区議団が行った「新型コロナから区民のいのち・くらし・営業を守る申し入れ(第11次)」の中で、私はコロナ禍で新たな事業者募集はやめることを強く求めました。それは「選定事業者なし」という答申を受けてもすぐに次の事業者を再公募すればよい、という区の姿勢に大いに疑問を感じたからです。本来、答申とは大変重いものです。それに対し子ども家庭部長は「答申を重く受け止めている。スケジュールありきではない」、齋藤副区長は「すでに事業者募集を始めてしまっている」と答弁しました。そこで質問です。まず区は「選定事業者なし」とした答申をどのように受け止めているのですか。お答えください。
 保護者からは追加要望として「引継ぎのスケジュールが心配。充分な引継ぎ期間を確保してほしい」と要望が出ています。重ねて言いますが、スケジュールありきで進めることで、一番の悪影響を受けるのは子どもたちです。現場の職員、保護者にも過度の負担がかかります。そこで質問です。コロナ禍の下にもかかわらず民営化を急ぐべきではありません。保育の公的責任を果たす立場から、今回の池袋第三保育園を含め、今後の区立保育園の民営化は白紙撤回すべきです。いかがですか。
 合わせてコロナ禍の下でやるべきことはコロナで辛い思いをしている子どもたちのために、子どもたち一人一人が大切にされる保育を行なうことです。そのために保育現場の職員体制の強化と待遇改善、密を避ける保育環境の整備、園庭のある保育園整備など、保育の質の向上をコロナ禍であるからこそやるべきではありませんか。いかがですか、答弁ください。

●次に大きな第二の質問、長期化するコロナ禍の下で直ちにやるべきことについて4点伺います。

 まず新生児への区独自の給付金について、ひとこと述べます。国の特別定額給付金や東京都の出産応援事業の対象外となった新生児に、区独自で10万円の区内共通商品券の支給が本定例会上程の補正予算に計上されました。私はこれまで昨年第2回定例会、今年第1回定例会の一般質問で繰り返し求めてきましたので、遅きに失したとはいえ、実現したことは良かったと思います。

 直ちにやるべきことのひとつめは生活保護世帯へのエアコン設置補助についてです。
 本定例会上程の補正予算にわが党がこの数年来、繰返し求めてきた、生活保護世帯へのエアコン設置補助が計上されました。今年第一回定例会の私の一般質問に初めて区は「今後の検討課題」と答弁。続く予算特別委員会で私が「早急に検討すべき」と求めたところ、区は「来年度に検討していく」と表明しました。さらにわが党が5/13に区長に行った新型コロナ対応についての緊急申し入れで「暑くなる前に実現を」と強く求めました。補正予算に計上されことは良かったのですが、説明によると7月からの実施となっています。
 そこで質問です。補正予算の最終本会議での議決は7/14です。今年はすでに気温が30度を超える真夏日が何日もあり、熱中症で救急搬送、死者も出ています。熱中症やコロナ感染のリスクを考えると早急に設置が必要です。少しでも早く設置できるよう、区は方策をとるべきではありませんか。いかがですか。加えてこれまでも求めてきた、生活保護世帯へのエアコン修理、交換、電気代の補助とともに、低所得者、高齢者、ひとり親家庭などへのエアコン設置、電気代も補助すべきと考えます。答弁ください。

 直ちにやるべきことのふたつめは、子ども・若者への支援について、4点伺います。
 その1点目は、子育て支援についてです。わが党は予算特別委員会の「予算の組替え動議」で、子どもの医療費の18歳までの無償化、国民健康保険の子どもの均等割りの無料化、学校給食の無償化、就学援助増額と認定基準の引き上げを強く求めましたが、他会派の委員からは質疑の一切ないまま否決されてしまいました。そこで質問です。2020年度仮決算剰余金は過去10年間で最高の38億円もあるのですから、十分できます。いまこそ実現を強く求めるものです。

 子ども・若者への支援の2点目は、若年女性への支援についてです。
 わが党米倉春奈都議は2016年2月、都議会で、助けが必要な若年女性が支援につながっていないことを示し、アウトリーチ相談活動などを提案。都は2018年度に行政と民間支援団体が街で声掛けをし、公的支援につなぐモデル事業を開始。今年度から予算はこれまでの3倍、1億700万円で本格実施されました。
 私はこれまでも18歳以上の若者への支援は特に脆弱であること指摘し、区もその認識があると答弁も得ています。わが党区議団へ寄せられる相談でも、行政の型通りの支援では必要な支援に繋がらない、行き先がないケースがあり、大きな課題と考えています。
 本定例上程の補正予算に「若年女性つながりサポート事業経費」が計上されています。国の「地域女性活躍推進交付金」を活用し、孤独や孤立で不安を抱える若年女性に対する支援となっています。そこで質問です。この事業では具体的に何をするのか、区としてどのように関わるのか、また公的支援に繋がらない場合どのように対応していくか、お答えください。

 子ども・若者支援の3点目は大学生、専門学校生などへの支援についてです。
 コロナ禍の下で多くの学生が保護者や自身のバイトの雇止め、シフトカットなどによる収入減で困窮しています。各地で行われている無料の食糧支援には行列ができ、深刻な声や相談が寄せられています。中にはバイトがなくなり収入が減った。食費を削っても学費が払えない、生活保護は学生だと利用できないのでこのままだと中退せざるを得ない、という方もいると聞いています。選択肢が生活保護か中退か、しかないのでは、未来ある若者から生きる希望、生きる力を奪います。
 そこで質問です。コロナ前から脆弱だった特に18歳以上の公的支援からこぼれおちる世代への支援が今こそ求められています。区独自の学費補助や家賃補助、給付型奨学金などを創設し、若者の学びや生きる力を支えるべきですが、いかがですか。

 子ども・若者への支援の4点目は「としま子ども若者応援基金」についてです。
 本定例会に「としま子ども若者応援基金の設置条例」が上程されています。区民や企業等からの寄付金を積み立て、困難を抱えた子ども、若者、子育て家庭への支援に活用するとしています。わが党は寄付を否定するものではありません。しかし寄付に依存すると行政サービスを継続的、安定的に提供することができないではありませんか。本来、必要な支援、施策は税金を使ってやるのが自治体本来の役割です。決して寄付に頼るものではないと考えますが、いかがですか。

 直ちにやるべきことの三つ目は教育における「学校施設長寿命化計画」についてです。
 「学校施設長寿命化計画」は2020年度3月に策定予定でしたが、いまだにできていません。予算特別委員会で私は学校施設を含めた区全体の施設計画を示すよう求ましたが、区は示すことはできない理由をコロナの影響と答弁しました。しかし、老朽化した学校施設、区民に身近な区有施設などの改修改築が必要なことはコロナ以前からはっきりとわかっていたことです。区長が進めてきた東アジア文化都市記念事業23事業はスケジュール通りにどんどん進んで完成しましたが、区民が求める特養ホームやグループホーム、学校、区有施設の改修改築が先送りになっています。
 今月6/16の議員協議会で、「学校施設長寿命化計画」を第3回定例会で(案)を示し、第4回定例会で策定の方向との報告がありました。私が策定が延び延びとなっている課題と課題解決の見通しを問うと、齋藤副区長から、課題は「コロナと仮校舎」、「見通しがないわけではない」「選択肢を検討しつつある」と答弁がありました。ようやく計画策定されるのは良かったと思います。これまでも指摘してきましたが、区立学校の改築校と未改築校で学校間格差が生じていることが一番の問題です。そこで質問です。具体的な計画案の策定に当たって、学校間格差が生じないようにすることが最優先だと考えますが、いかがですか。
 またコロナ禍の下で少人数学級を国の方針よりも早期に実現することが求められています。30人学級も視野においた計画にすべきと考えますが、いかがですか。
 合わせて、これまでわが党が反対してきた学校改築を口実にした学校統廃合は絶対にやるべきではありません。答弁を求めます。

 直ちにやるべきことの4点目はイケバスについてです。イケバスは初年度の2019年度は、イニシャルコストとランニングコスト合わせて総額5億円以上、昨年2020年度は当初予算の5,600万円に加えて、コロナによる減便、運休などによる赤字補填のため補正予算で1億4400万円余、合計2億円も投入しました。そして今年2021度当初予算は昨年度の2.6倍の1億4200万円余。しかしコロナ感染拡大で今年1月18日~減便、緊急事態宣言中の4月25日~6月20日は運休となっており、さらなる赤字補填が懸念されます。区長は「5年先、10年先を見据えた事業」といいますが、すでに区財政の大きな負担となっているイケバスをこのまま5年、10年と続ける余裕はありません。これ以上、無駄な税金投入はやめイケバスはただちにきっぱり中止すべきです。

●次に大きな第4の質問、その他として、痴漢をなくすことについて区長、教育長に質問します。
 痴漢は性暴力です。日本共産党東京都委員会ジェンダー平等委員会は、昨年「痴漢被害アンケート」を実施し、1435人から悲痛な声が寄せられました。アンケートでは、被害は電車の中や路上、公共施設など公共空間のあらゆる場所に及んでいること、被害者がうつやPTSD、自傷など長期にわたり心と体に重大な打撃を受けながら、多くが声を上げられず、「すきがあるから」と逆に責められる場合もあることが明らかになりました。アンケートをもとにわが党米倉春奈都議は2月の都議会で、痴漢対策について質問。被害を軽視し被害者を責める社会認識を変えるためにも、行政の積極的な発信や都営地下鉄の痴漢対策、加害者の再犯防止策などを求めました。小池知事は痴漢など性暴力被害の深刻な実態を認め、被害者支援などに取り組むと答弁しました。
 そこで質問します。まず痴漢が性暴力だという認識がありますか。そして痴漢被害が長期に渡ること、心身と生活に重大な打撃をあたえているという実態をどのように認識していますか。お答え下さい。
 さらにアンケートでは初めて被害をうけた年齢は18歳以下が71.5%、そのうち小学生以下が34.5%と子どもがターゲットになっています。豊島区には「子どもの権利に関する条例」が制定されています。子どもの最善の利益の観点からも、子ども・未成年への性暴力として特別な対策が急務と考えます。区としての取り組みと、学校としての取り組み、それぞれについて、答弁を求めます。

 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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