HOME2024年度予算 反対討論しました 森 とおる (3/26)
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2024年度予算 反対討論しました 森 とおる (3/26)
2024.03.27

 日本共産党豊島区議団 森とおるです。会派を代表し、第24号議案、一般会計予算。第25号議案、国民健康保険事業会計予算。第26号議案、後期高齢者医療事業会計予算。第27号議案、介護保険事業会計予算に反対の立場から討論します。

 なお、第34号議案、一般会計補正予算第1号については、賛成いたします。

録画中継はこちら→録画配信 (kensakusystem.jp)

 元日に発生した能登半島地震被害救済と復興が重要ですが、国の2024年度予算案は、被災者生活再建支援金は、ほぼこれまで通りで拡充はありません。一方、大阪万博への支援は増やし総額10兆円。この予算は震災復旧、復興に振り向けるべきです。物価高騰対策としての定額減税は実施がずれ込み、内容も不十分として国民から評価されません。異次元の少子化対策に期待していたが看板倒れという批判は相次ぎます。

5年間で43兆円の大軍拡計画は止めようといていません。大問題となっている自民党派閥の政治資金パーティーは、企業団体献金であり、政治をゆがめる賄賂に他なりません。実際、大企業に法人税減税が繰り返される一方、国民には消費税の増税、社会保障切り捨てが押し付けられ、不安定で低賃金の働き方が大幅に拡大されるなど、政治がゆがめられてきました。政治資金収支報告書に記載せず、3年間で6億円近くの巨額の裏金をつくるなど民主政治の破壊行為です。他にもこの間、青年局、女性局が起こした問題等もあり、国民の失望と怒りは頂点に達しています。

 東京都の予算案は、授業料実質無償化、区市町村に学校給食費補助の2分の1の計上はありますが、経済界が要求する大型開発、陥没事故で大問題になっている外環道建設などに巨額の経費が盛り込まれています。その一方、生活困窮者支援は減額され、保険者でありながら国保料引き下げの財政支援はなく、コロナ予算は大半が終了します。

豊島区の一般会計予算は、前年度当初予算比168億円の増、1,529億円となり、過去最大の予算規模です。歳入は、特別区民税が定額減税による影響等を見込み、対前年度予算費10億円の減となる323億円。特別区財政調整交付金は、法人住民税の増加などにより43億円増となる379億円。また、特別区債は、千川中学校の改築や西巣鴨橋の整備などを目的に22億円増の44億円。国・都支出金は52億円増の432億円。財政調整基金繰入金は57億円。

投資的経費を除く新規・拡充事業は、前年度予算比2倍以上の84億円。その中には、小中学校給食費無償化の維持経費、新規採用職員を前年度の2倍。産後ケア産後ドゥーラの充実。医療的ケア児受け入れの環境整備。再生可能エネルギー・省エネルギー機器への助成を倍にする。おたっしゃカード回数増等がされたことは評価いたします。

今、国による弱肉強食の新自由主義がもたらした日本経済の構造的なゆがみ、物価高騰により、区民の暮らしと営業は、深刻な事態になっています。この予算編成が、深刻な危機に直面している区民に対して、どのような支援策、救済策を講じているかが問われます。

わが党区議団は、今回の予算審査にあたり、

この3つの観点から審査に当たりました。

 私は委員会で、区民が置かれている厳しい状況について、どのように認識しているか質問しました。答弁は、「ゆとりがなくなっている。物価が上がっている。子ども食堂に関わっている方からは、利用している子どもが増えてきている。中には家族の分も持ち帰りたいという声などを受け止めて、過去最大の新規拡充、新たな施策、子育て、高齢者、健康、給食費など、必要な支援をすすめる予算」というようなものでした。

 また、国、都へ要望してもやらないのであれば、区が直接、手立てを尽くすべきと質問すると、「区では国・都が行わない部分について必要な支援を行っている部分もあるし、他自治体と連携し。声を受け止め状況を見ながら様々な支援を対応していきたい」というような答弁がありました。しかし、実際にそうなっているでしょうか。

●震災・防災対策についてです。

 避難所の不足が否めません。能登半島地震を契機に改めて見直しや総点検が必要になります。まずできることとして提案しましたが、以前、時習小学校だった帝京平成大学内の、区が使用している集会室、並びに都立高校の校庭など、発災後、直ちに避難できるように整備すべきです。また感震ブレーカー設置への補助、家具転倒防止器具助成制度等の創設が必要です。

●生活保護についてです。

 国が2013年から3年間、生活扶助の基準額を引き下げたことで、全国で約670億円が削減されました。これに減額処分の取り消しを求める裁判が各地で行われており、原告が勝訴する数の方が多くなっています。その後も、冬季加算、生活扶助本体や母子加算の引き下げが続き、生活保護利用世帯の生活は厳しい状況が続いています。本区は、家賃が高く、家賃扶助の上限額を超えて、自己負担している世帯は261世帯あります。生活保護基準の引き上げを国に求めることが必要であり、引き上がることによって他の様々な低所得者向けの制度も連動して社会保障全体が向上することになります。同時に区独自の支援策が必要です。エアコン購入費用助成制度も増額しなければ利用できない世帯が取り残されてしまいます。また、生活福祉課については、職員を増やし相談者の立場に立ち、必要としている人に寄り添う対応に改めるべきです。

⚫︎住宅についてです。

「住まいは人権」という認識をもって住宅施策をすすめるべきです。

 住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台ともいうべきものです。地方自治の本旨は住民の福祉の増進ですから、国が持ち家政策ばかり行う中で、区として住まいの確保は重要です。しかし、公営住宅の建設についても、若者の家賃補助についても一般質問で区は拒否しています。

 さらに来年度予算、新規拡充事業とされているが、安心住まい提供事業は一般財源は増えているが、内容は、新規借り上げの中止、借上げ住宅の返還など、実際には縮小というべき内容です。

 また、区民住宅返還時原状回復事業も、来年2月に借り上げ期間が満了となるファミリー層の借上げ住宅、区民住宅を返還する時にあたって、現状復帰にかかる経費で、区民住宅を廃止するためのものであります。

 しかし、安心住まいに代わる制度も、子育てファミリー世帯向けの施策も、検討中として、全く具体化していないのです。ファミリー世帯家賃助成制度については転居を条件としないなど利用しやすくするとともに、4年目以降の補助額の減額はやめ拡充すべきです。

 女性の住まいです。住まいがなく池袋周辺の友人宅やネットカフェなどを利用している60代の方の事例を上げました。生活保護の相談に行ったが、宿泊場所として千葉県の施設を紹介され、それがいやならもっと遠くなる、と言われたそうです。住まいのない女性が入れる施設は、もう都内にはないのでしょうか。

 ハウジングファースト(housing first)という、住まいのない方を支援する際、まず、新たな住居の提供を行うという考え方が必要です。

 4月から女性支援新法が施行されます。困難な問題を抱える女性にもっと「寄り添って助けていく」という理念になるのです。

 区内には空き家がたくさんある、さらには、安心住まい提供事業の空き家がある、こちらは能登半島地震の縁故避難に活用できるなら、制限はないと思うが、ぜひ、活用すべきであります。理事者からは、居住支援協議会やNPOで検討していくとの答弁もありました。早急に実施すべきです。 

⚫︎高齢者施策について3点述べます。

加齢性難聴者への補聴器購入の補助制度についてです

 利用者増などを見込み、予算は昨年の約2倍としますが、内容の改善はありません。来年度北区が7万円の補助を実施するときいています。豊島区は早く始めたのですが、その後次々と他の自治体が補助を開始するなか、実態に合わせたものにしていく観点がないと、遅れてしまいます。昨年区民厚生員会に出された資料を見ますと、当時の他の自治体と比べて、見劣りするのは、金額および助成回数「1回限り」という点です。再度の利用について5年に1回というところが増えています。改善を求めます。

⚫︎新規拡充事業の施設系・居住系介護サービス事業者支援事業についてです。 

 事業費58,220,000円です。施設系は約5000万円、居住系介護サービス事業所には800万円です。10か所ある施設系、17か所ある居住系介護、どこもこの間の物価高騰、コロナの影響や介護報酬の引き下げで経営は困難です。予算が少なすぎます。

⚫︎介護サービス事業者等におけるPCR検査実施事業経費です。

 国や東京都が行っていた介護施設等についての無料の定期的なPCR検査も4月から廃止です。コロナは5類になったから、と言いますが、いまだに流行があり、り患すれば、重度化する人や後遺症のでる人かいます。4月から、入院費の補助もなくなり、薬代の上限9000円もなくなり、薬代は3割なら1万5000円にもなるとの試算がされています。PCR検査はすでに有料となっています。介護施設等で定期的な検査がなくなれば、感染に気付かず蔓延する可能性がある、そうなれば苦しむのは入所者であり、また、そこで働いている人たちです。これまで実施していた豊島区独自のPCR検査費補助を全廃することは、高齢者の命を守る観点から反対です。

●視覚障がいのある方の施策についてです。

 視覚障がいのある方への対応として点字化している文書は広報としま、区議会だより、選挙公報。その他も増やすべきです。また少なくとも発送する封筒については、担当課名と直通電話番号の点字シール貼付が必要です。対応できていない担当課においては調査するという答弁がありました。誰一人取り残さない区政というのであれば直ちに実施すべきです。

 また、選挙の際の公営ポスター掲示場の設置については、しっかり点検し十分な配慮をお願いします。

●子育て支援策について3点述べます。

 就学援助の認定基準を、杉並区と足立区が今年度引き上げました。一方、本区は1994年から変更されておりません。現状の1.2倍を1.25倍に引き上げる経費は537万円。引き上げを求めましたが、23区の標準的な水準であるからと拒否しました。

⚫︎私費負担の軽減策についてです。品川区が所得制限なしで補助教材費の負担軽減策を実施するなど拡充の動きがあります。同様に、学校給食無償化について、私立、国立、インターナショナルスクール等に対象拡大する区もあります。子育て分野を最重要政策した予算というのであればこうした子育て支援策にしっかり取り組み拡充すべきです。

●大学等の学費補助についてです。

 親に頼ることができない。奨学金を返せる見通しがない。進学を諦めた。入学したがアルバイトで睡眠と学習の時間が削られた。こうした声は低所得世帯だけでなく、幅広い世―帯の親と子どもから寄せられます。区はこうした声なき声に耳を傾けるべきです。国への要望もさらに積極的に取り組むべきで、さらに区独自の学費軽減策、給付型奨学金制度の創設が必要です。

⚫︎最後に、中小企業対策についてです。

 商店が次々閉鎖し、豆腐屋、風呂屋、本屋、新聞販売店などがなくなっていく、とても文化的と言えません。

 23年度、区内倒産件数は、建設業が増えました。資材高騰と人手不足が要因と考えられるとのこと。わが党は、昨年の第1回定例会で建築業者の声をとりあげ、何よりも営業を守るために、法人や個人事業主に対して、燃料、ガス、電気代の補助、家賃などの固定費の補助を実施すべき、と求めましたが、実施していませんし、来年度もありません。

 確定申告の時期です、自民党の政治資金パーティ券をめぐる裏金づくり、不記載やキックバック、(決して「還付」ではありません)、について、怒りの声が上がっています。我が党にも「政治家が納税しなくても良いなら、自分も納税しなくても良いか」との声もよせられます。また、今回の確定申告は、昨年10月から始まったインボイス制度によりフリーランス、個人が初めて申告納税することにもなります。ある方は10月から12月の3月分で約2万円、来年は単純計算すれば8万円に。来年度の定額減税4万円を大幅に超えます。経過措置は三年間が2割、その後3年間が5割、その後は100%となれば40万です。

 この間、賃金は上がらないのに、消費税が5%から、8%、そして10%に上がったことは、個人消費を冷え込ませ、景気を冷やしてきた、そしてこの物価高で二重に負担増。

 豊島区として、消費税やインボイスについての対応もありません。住宅リフォーム助成のような、商店の内装工事などに区内業者を使えは補助する制度「商店街リフォーム制度」が必要ですが、ありません。

 池袋駅西口地区市街地再開発事業は、サンシャイン60を超える高さと容積の超巨大ビル計画です。都心部では、大規模な再開発が乱立し、高さ日本一を競う再開発が、麻布や東京駅等に進められています。

 そのため、オフィスは供給過剰になっており、また在宅勤務の定着や外資系企業の事業見直し等で、極めて厳しい状況です。賃料の低下傾向は続き、都心5区でも空室率が危険水域といわれる5%を超えて推移しています。今後、ますます人口減少・高齢化という構造的な問題が進み、就業人口は減少する事になり、さらにオフィス需要は確実に減少します。これからの時代、超高層ビルではないまちづくりが望まれています。

 こうしたこれらの計画を区はろくに説明することなく強行しているため、ほとんどの区民は知らされないまま、巨額の税金が使われています。区民不在で不要不急の事業を強行するなど到底認めることはできません。

●イケバスについてです。

 予算に、委託料として、トータルデザイン・監修500万円が計上されおり、これまでの支払い総額は4,613万2千円と大きな金額。区は、デザインの統一性が必要として1事務所に対して予算化されたもの。事務所が問題な訳ではありませんが、区が競争入札、相見積もりをせずに、相手から提示された金額を支払ってきたこと、これからも続けようとしていることが、税金の使い方として、公平性、透明性を逸脱する行為であり重大問題です。

 車両についても、グリーンスローモビリティ基準枠の、冷暖房がない、速度19kmと遅い、安全基準の緩和で衝突されたら重大事故につながるリスクなどがあり、交通量の多い道路、また幅員の狭い道路が多い豊島区には相応しくありません。区の魅力を高めることが大事なのか、快適性、安全性が大事なのか、区の判断が問われます。無駄遣いという区民の声に耳を傾け、直ちに廃止することを求めます。

 以上、述べたように、区民不在、不要不急の無駄な事業を進めています。

 財源確保の面では、国の不合理な税制改正により、法人住民税の一部国税化61億円、地方消費税の精算基準の見直し13億円、ふるさと納税26億円の減収見込みと歳入に大きな影響が出ています。

 また、全国自治体が行う情報システムの標準化の費用負担については、国の都合で行なっているのに、国が約束していた全額負担の見込みはいまだに立っていません。

⚫︎2023年の23区の新築マンションが、前年比4割も上昇し、平均価格が1億1,400万円になりました。C地区には、池袋保健所本移転として、保留床購入費と設計費、内装費で65億円が使われることになります。総額1,279億円の事業に402億円、税金依存3割を超えるタワーマンション計画に、大企業が儲け、区民は追い出され、富裕層の人口は増えるかもしれません。しかし、その一方で、家賃が払えない、何度申し込んでも公的住宅に入れないという多くの区民がいます。こうした貧困と格差をつくり出す計画に巨額の予算編成するのはいかがなものでしょうか。

⚫︎東池袋一丁目地区再開発ビルの、イケバス運行拠点のスペースは無償で借りると答弁がありましたが、設備内装など費用がかかることが予想されます。また運用後に拠点を廃止した時の現状復帰などの費用負担も考慮されていない。こうした税金の使い方ははなはだ疑問です。ビル完成予定は2028年10月と4年以上先。その時イケバスは運行開始後10年近くが経過しており、見通しが立たないような計画は白紙に戻すべきです。

⚫︎学校改築については、築年数が50年を超える学校と、改築された学校との格差が問題になっています。千川中学校の改築計画後の、老朽化した19校の計画は一向に示されません。仮校舎地の確保について考え方を聞いても、なんら進展はなく、財政的な説明もなく、ただ時間が過ぎていくだけ。仮校舎地になり得る土地についても、学校跡地は売却し、造幣局跡地の公園部分以外は確保せず、2度にわたる池袋保健所の移転などについては無反省。本当に改築する気があるのか疑問です。答弁は、「学校それ以外の区立施設も含めて今後の改築、設備のあり方については庁内挙げて総合的に検討しているので、来年度早期に示す」とありました。仮校舎地の財源も含め早急に示していただきたいと考えます。

⚫︎子どもの居場所についてです。

 東京都の資料では、豊島区には児童館が2か所となっています。これは中高生の居場所、ジャンプであります。

 2004年に24館あった児童館を廃止して区民ひろばにしたのです。東京全体で2004年から2021年で50館減っていますが、このうち22、四割が豊島区の削減分です。

子どもスキップは、職員が足らず、体育館や校庭が使えるといっても、そこで指導する職員がいなければ安全安心していられる「居場所」ではありません。子どもスキップの態勢は改善は進んだが、正規で4人不足、会計年度任用職員も10名程度は不足しそうです。

また、学童保育の定員も、学童用のコアスペース、一般児童が使うセカンドに加え、サードという学校教育と併用する場所も含めて、必要面積に入れ計算しています。学童の場所が確保できていないのです。保護者から、学童では机が置けず、立っている状況で、宿題もできない、との声も聴きました。

 区有地を使って小学生だけでなく、中学生高校生まで、学校以外に子どもたちの居場所を本気で増やす必要があります。

⚫︎委託について、区民ひろばを取り上げました。

 理事者は、人材不足について、運営法人についてもまた、職員についても深刻だと答弁しました。来年度、地域区民ひろば自主運営推進事業経費の人件費増額分は社会保険料の事業主負担分もはいって新規拡充分342万円、自主運営11館分とは少なすぎます。

 また、区民ひろばは、直営では、正規の職員と会計年度任用職員で運営されています。賃上げ、特に会計年度任用職員については、来年度から期末手当に加え勤勉手当も創設され、大きく改善されます。自主運営では、ほとんどの方が会計年度任用職員に近い働き方であり、その多くが女性です。直営と自主運営で労働条件が大きく違うことになっているのは問題です。理事者は、自主運営でも賃上げができると思う、と答弁しましたが、しっかり賃上げや必要な社会保険加入がすすむようにすべきです。

⚫︎わが党は公契約条例の制定を求めてきました。工事請負に焦点があたっていますが、それ以外でも指定管理でも区民ひろばのような委託でも、区が発注する仕事を受注する企業などに賃金の支払いや労働法制を守る責務を果たさせる、区もそれを保証する責務もある、それによって、公共事業や公的労働に携わる労働者の処遇向上をする、それが区民サービス向上にもなると考えます。

 区は、これまでわが党が公契約条例を求めると、「社会保険労務士による賃金労働条件調査の継続により実効性が担保できている」と答弁してきました。また、今回、職員が調査するよりも専門家の目で調査をすることが良い、懲罰的というよりも改善し育成することが目的と答弁していました。それであれば、区民ひろばは対象としたことはなかった、とのことですから、今後は指定管理者制度、区民ひろばなど様々な委託を対象に実施していく必要があります。また、あらためて、豊島区として検討し、公契約条例を作るべきであります。

⚫︎職員についてです。

新規採用職員が例年の2倍180名ということで、4月正規職員数 2092名(23年2016)と増えました。職員採用を制限していた時期が長く続き、第七次定員管理計画では1800名体制がすすめられていました。ようやく後期基本計画の見直しの中で、正規採用が図られたものであり、評価できるものです。しかし、この間若い世代がやめていく、その理由の一つには経験のある職員30代40代が少ないのでスキルを伝えられない、という問題があります。理事者は経験者採用もありいびつな世代構成は是正されつつあるとは答弁しましたが、まだ傷は深いです。また、区が実施すると言っている子どもスキップの正規2名体制にすることもできてない、会計年度任用職員も不足しています。さらなる採用を求めます。職員のもつ資格、社会福祉士、ケアマネ、保健師など専門性を生かし、区民に寄り添った対応を進めるべきです。直営の基幹型地域包括支援センターについては、直営にふさわしく、三職種は、社会福祉法人からの派遣はやめ、区職員にすべきです。また、生活福祉課の職員体制も専門職も増やし、1ケースワーカーの担当世帯は純粋に80世帯を超えないようにして、「やりがいのある職場」にすることが必要です。

会計年度任用職員については、勤勉手当が支給されることとなりました。しかし、報酬単価を上げたとはいえ、たとえば子どもスキップについて児童福祉職は近隣区である板橋区、文京区の方が高い状況です。これらの区は更新4回限度もないので、差があります。さらなる単価引き上げと、更新限度撤回が必要です。

 2024年度から2028年度の5か年の基金残高の推移は、義務教育施設整備基金が130億円から82億円へ、公共施設再構築基金も121億円から25億円へと大きく減少し、それに対して財政調整基金が132億円から242億円と毎年積み増しされ、過去最高額になる計画です。今年度も決算剰余金は、25億円が見込まれ、財政調整基金に算入されようとしています。こうした基金の一部を使えば、さらなる区民の救済策、物価高騰対策を実行することができます。

暮らしに課題を抱えているのに、必要なサポートが届いていない区民が大勢います。社会的に弱い立場にある人々の気持ちに寄り添い応えることが求められています。財政運営において、最も重視されなければならないことは、変えるべきことは変え、弱い立場にある区民の声なき声に耳を傾けることです。

 本予算編成は、これまで触れてきたもの以外にも、日本共産党が求めてきた原爆写真展のセンタースクエアでの開催、区民センター1階のスペースの改善などもありますが、3つの観点で審査した結果、一般会計予算には反対をいたします。

 また、わが党は、委員会において予算の組替え動議について、必要最小限の組替えを要求しました。自民党、公明党、立憲れいわ、都民ファーストの会・国民、維新無所属、無所属元気の会によって否決されました。しかし、補正予算を組んででも、区民の立場で予算修正することを強く求めておきます。

 毎年のように値上げされ高すぎる保険料が、加入している区民の暮らしに大きな影響を及ぼしています。事例をあげましたが、子どもが3人いるシングルの方は、均等割りの影響と滞納分の返済もあり、年収の2割を払っているなど、限界を超えている世帯が増加の一途をたどっています。区は、東京都の法定外繰入れ解消、削減策を受け入れることで、今後も保険料引き上げを容認するかのような態度は容認できません。

給与年収400万円の4人家族、30歳代の夫婦と小学生の子ども2人の場合、国保は年間約40万円。一方、協会けんぽでは、事業主負担があるので、本人負担は半分の20万円。こうした2倍の格差の不公平を是正し、命と健康を守るために安定した運営をするのが、区政の役割です。国と都に財政支援を求めるとともに、区が独自に引き下げるためにあらゆる手立てを尽くすという姿勢がありません。

 保険料の基準額は上がらず、低所得者に減額をしたことは、よいのですが、一定の所得があるところは値上げ、わずか9億6千万円しか基金を取り崩さない。ここを変えれば、値上げしないで済むのです。

 特別養護老人ホームについては、2021年11月に「西巣鴨地区の施設整備について」案が議会に報告され、これまで旧朝日中学校に作ると言っていたのが、西巣鴨体育場に変更されました。当初計画どおりなら2023年には完成していたはずでした。しかし、今後のスケジュールさえ、「総合体育場の管理棟改築が決まっていないので」と全く示すことができません。特養の待機者は、昨年12月現在で、440名、この間へりつつあったのが、昨年3月末の383名よりも大幅に増えています。

 また、区民からは、ショートステイにいっている間に、歩けなくなってしまった、との声も聞いていますが、職員の手が回らないのではありませんか。

 介護事業所はどこも人手不足です。地域密着型介護施設での宿舎借上げ補助事業も利用者は少ない、利用したいが5キロ以内とか、一施設一人で4戸分とか、あまりにも条件が厳しくて予算が少なく利用ができない状況であることを指摘しました。

 特養は現在92%稼働率、しかし、99%の利用率でなければペイしないような介護報酬、物価高騰と人手不足に対して来年度の報酬引き上げは焼け石に水です。東京都もようやく補助に足を踏み出したが、まだまだ不十分。報道では春闘で大企業も賃金引き上げを進めている、そんな中で、本気の人手不足解消そして公的な介護を充実させるために豊島区が独自に支援をすべきです。

 特に、ヘルパー事業所の介護報酬は引き下げです。介護保険では利用しづらい通院介助などをケアマネージャが担っています。在宅介護を支える点でも、これも豊島区独自のヘルパー制度、利用料や保険料に跳ね返らない制度の実施が必要です。理事者も実情はわかっているようですので、早急に実施すべきです。

 単身の年金収入であれば200万円以上などの方の利用料が2割負担となりました。この方々は、決して楽な生活ではありません。税や社会保険料などを引かれた手取りでは、家賃の高い豊島区で暮らすのは大変です。豊島区で2割負担となった方は、6200人もいます。今後二年間の保険料も上がり、導入時の2倍にもなっています。一部来年度下がる世帯もありますが、結局、再来年度は値上げ。これらの保険料の引き上げの中には、出産育児一時金の引き上げのための支出がはいっています。世代間分断をはかるもので本当に許せません。

 後期高齢者の保険証は今年7月で切り替えになります。また、今年12月に紙の「保険証」は廃止されることになっています。当面は紙の「資格確認書」等が発行されますが、それなら紙の保険証を廃止する必要などないのです。

 よって、3特別会計予算に反対するものです。

 以上、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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