HOME主な活動議員別かきうち信行5陳情第12号「羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情」採択を求める討論を行いました (かきうち信行)
かきうち信行
5陳情第12号「羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情」採択を求める討論を行いました (かきうち信行)
2023.07.10
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日本共産党のかきうち信行です。私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております5陳情第12号 羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情について、不採択することに反対し、ただちに採択することを求めて討論を行います。

本陳情は、羽田新飛行ルートの運用から3年。本区の長崎・南長崎など西部地域上空を飛んでくる飛行機について、落下物の危険、騒音による被害や影響、低空飛行による排気ガスや振動、さらに資産価値の下落など、豊島区民の安全・安心を守ってという願いに豊島区議会は応えてほしいと、羽田新飛行ルートについて中止を求める意見書を国に提出してほしいというものであります。
陳情にも触れられているように、飛行ルートにある住民は、午後3時を過ぎると、2分ないし、3分おきにほぼ毎日のように飛んでくる飛行機に「ゴーという騒音」「落下物が落ちてくるか不安」に悩まされています。

わが日本共産党は、羽田新ルートについて、運用開始前から、国会でも都議会でも区議会でも内外問わず、この飛行ルートの撤回を国土交通省に求めてきました。私も、高野前区長に対して、何度も中止や見直しを求めてきましたが、区議会が、区民からの請願や陳情を不採択としたことで、中止や見直しについて言及することは、ありませんでした。羽田新飛行ルートは、住民にとって百害あって一利なしです。都心上空の飛行は、さらに拡大される恐れもあります。

そこで私は、今区議会の一般質問で、高際新区長に、人が主役というのが政治姿勢の根底で、区民一人ひとりが希望をもって生活できるように「区民のために」「区民福祉の増進のために」、広い視野と区民目線で考え実行するとの基本理念にたつというなら、まさにこの飛行ルートの中止、撤回を求めることこそが、区長の示す態度ではないかと質しました。
ですから、この本会議場で、高際区長自身から、答弁をいただきたかったのですが、環境清掃部長が、「現時点で国に対して羽田空港新ルートの撤回を求める考えはない」と区民に背を向ける残念な答弁をしました。
そこで私は、この陳情審査にあたり、豊島区長の飛行ルートに関する認識とその対応と取り組む姿勢が、今後の区政大きく動かすことから、今度就任された、上野雄一副区長はじめ、所管の環境清掃部長、環境保全課長など理事者の答弁が、高際区長が答えたものとなるのか確認したうえで論議を進めました。
というのも、上野副区長は、都の都市整備局長・技官当時、都議会でのわが党議員の新ルート撤回を求めた予算特別委員会質疑で、小池知事に質問しているにも関わらず、もっぱら国土交通省を擁護し、知事に代わって答弁した経過があるからです。副区長に就任されたからには、区長とともに区民の願いにこたえて、きっぱり新ルート中止の立場に立っていただきたいのであります。

さて質疑の中で、私は、渋谷区や品川区、港区、新宿区など飛行ルートの中止、見直し、固定化回避を求める意見書、決議が採択されていることを上げ、豊島区の認識を尋ねたところ部長からは、ルートには様々な自治体の上を通過していて、区によって事情が異なる旨の答弁がありました。
また、私の一般質問に対し、区長に代わっての環境清掃部長が、「現時点では、撤回を求める考えはない」という答弁をした背景を質すと、これまで、経路撤回の陳情が議会で不採択になっていることを上げました。そこで、改めて現時点とは、どういうことかと質すと、まさにいま議論している陳情の議会の審査にある旨の答弁がありました。
すなわち、今、本陳情を採択し、豊島区議会が、渋谷区議会や品川区議会、港区議会があげた意見書を提出することこそ、豊島区の姿勢を変えることができるのであります。

改めて、この新ルートの問題点を述べます。第一は騒音被害です。

従来の羽田飛行ルートの原則は「海から入り海へ出る」ものでした。騒音や落下物に配慮したからです。新飛行ルートは、市民の命、くらしを脅かします。成田空港開港の目的は、羽田の混雑緩和や騒音対策などでした。羽田空港の沖合展開も人口密集地を避けることと騒音防止策の一環でした。                                                      ところが、当時の安倍政権は、新ルートの増便で世界からヒト、モノ、カネを取り込み、国際競争力を強化するとした成長戦略を掲げ、住民の理解も合意を得ずに2020年3月に新飛行ルートを強行実施したのです

第二に、落下物は避けられないからです。

航空機からの落下物や墜落事故が万が一にでも発生すれば、命にかかわる重大な事故へ発展します。アメリカのユナイテッド航空機、ボーイング777型、エンジンが爆発して、部品が住宅街に落下する衝撃的な事故やオランダや那覇空港でも同系列の機体・エンジンの破損・落下物事故もありました。
委員会の区の資料にもあるように、航空機からの部品欠落調査によれば、羽田空港を含む7つの空港の総計は、100グラム以下とはいえ、2019年度928個、2020年度1005個、2021年度1064個と増えています。1日に約2.9個も航空機の部品が欠落、つまり、場所の特定はできないが、どこかで落下していることになります。落下物はなくならない。

だからこそ、落下物は落ちる前提で、2次被害を出さないことを考えるのが落下物対策の基本であります。本区のみならず、新ルート直下には、住宅、学校、保育施設など数多くあり、火力発電所などもルート付近にあります。
その上、これまでは飛行禁止とされていた石油や危険物を多く取り扱う川崎コンビナート上空も新ルートは含んでおり、重大な2次被害を防ぐには、新ルートの中止こそ一番の安全対策です。

第三に、「固定化回避の技術的方策」についての検討会は、「現在の滑走路の使い方を前提」としているからです。

国土交通省は2020年以降、新ルートの「固定化回避の技術的方策」についての検討会を5回開いています。しかしこれは新ルートのための「現在の滑走路の使い方を前提」としたもので、新ルートの騒音や落下物、墜落など、住民の不安や危惧に応えていません。 ですから、検討、検討と言って、飛行ルートを示すことができません。今年の秋ごろまでに第6回の検討会を開催するとしていますが、事実上、3年間も飛行ルートの固定化を既成事実化しているではありませんか。

委員会審査では、本陳情に対し、初めから採択を主張したのは、日本共産党の私だけ。
自民党、公明党、都民ファーストの会・国民の会派は、「いまだ不安な区民の皆様の声があることは事実」「騒音や落下物の心配という区民の皆さんの声は大いに理解できる」といいつつ「安全対策をとっている」「丁寧に区も国に要望するなど」「観光客の誘致、都民・区民の利便性を考える」などと言って、不採択を主張。
立憲・れいわ、並びに維新・無所属の会派は、当初は、継続審査を主張しましたが、継続が否決されると、立憲・れいわは、採択。維新・無所属の会は不採択を主張し、採決の結果、賛成少数で陳情は不採択となりました。

先ほども述べましたが、この陳情は、区民のくらし、生命を守るために、きっぱり都心部を飛行する新ルート中止を求めるものです。新ルートは住民にとって百害あって一利なしです。
よって、5陳情第12号羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情をただちに採択することを求めて、私の討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

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