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第4回定例会/最終本会議討論 清水みちこ 《豊島区の補聴器購入費助成制度の拡充を求める陳情》ー採択を求めるー
2022.12.06

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、ただいま議題とされております「4陳情第34号 豊島区の補聴器購入費助成制度の拡充を求める陳情」について、継続審査とすることに反対し、直ちに採択を求める立場から討論を行います。

 この陳情は、老化により難聴になる人が増え、補聴器の装着が必要とされても補聴器が高額で購入をためらう人がいることや、補聴器の電池交換、調整などメンテナンスにもお金がかかることから、現行の区の補聴器購入費助成制度の条件、対象、助成金額などの一層の拡充を求め、977名の署名とともに提出されたものです。

以下、採択すべき理由を述べます。

 加齢性難聴は65歳から74歳までは3人に1人、75歳以上は約半分が難聴に悩んでいると言われています。加齢性難聴を早期発見し、補聴器の装着をすることで生活の質を保ち、社会生活を健やかに送ることができるのです。

 豊島区HPの高齢者補聴器購入費助成のページの冒頭には「聴力機能の低下により、ご友人やご家族等とコミュニケーションがとりにくい高齢者を対象に、聴力低下による閉じこもりを防ぎ、高齢者の積極的な社会参加や地域交流を支援し、高齢者の健康増進、認知症予防に資することを目的に、補聴器の購入費を助成します」とあります。

 助成対象は65歳以上、住民税本人非課税、中程度難聴の方で、助成額は一人1台1回限り、限度額2万円まで、故障、修理、メンテナンスは対象外となっています。

 しかし補聴器は片耳で10万円から30万円、平均でも15万円と高額です。年金暮らしの高齢者にとっては購入をためらう大きな要因となっています。

 区の助成制度を利用した方の購入費用の平均は202,969円、最大で648,000円、最小で19,800円です。

 区は制度の利用者へアンケートを実施し、補助額について、2万円で十分という方が27%、不十分と言う方は55%強、あとは無回答で、不十分と答えた方が多いことがわかります。

 またアンケートでは、補聴器を利用して満足という方が60%強、不満足が10%弱となっています。やはり使ってみると満足する方が多い一方、不満足なのは補聴器の雑音や調整などが理由になっていることが明らかになりました。

 陳情文に「使い勝手の良い物を購入するには高額にならざるを得ず」「電池の交換、音量の調節などメンテナンスにもお金がかかります」とある通り、誰でも購入しやすいように制度の拡充が必要です。

 さらに対象が住民税非課税の方となっているのに、助成金の振込は購入後となっていることや、自己負担が重いこと、実績は2020年度は72件で144万円、21年度は61件で121万円、今年度は10月末で36件で71万円で、予算も約200万円とあまりにも低すぎます。

 他区の状況を見ますと、補助を実施しているのは23区の内16区。その内課税世帯も対象になっている区は5区で、港区は60歳以上、医師の認定、障害者手帳を持っていない人を対象にして、上限13万7,000円、住民税課税者は上限68,000円、 5年に1回再更新ができます。今年度より事業がスタートし、当初予算は240人分2,192万円でしたが希望者が多かったため、第2回定例会で536人分の補正予算6,041万円が組まれました。江東区では現物または補助金30,000円のどちらかを選び、購入補助後の調整を区役所で毎週定期的に行い、年間約1,000人の利用者数で、補聴器診察の医師に補助金も支給しています。新宿区は本人負担2,000円で現物支給、再申請は5年に1回となっています。

 豊島区は他区に先んじて2018年に事業をスタートしました。しかし今では助成を行っている区は16区の内、20,000円は最低額で豊島区を含む4区しかありません。他区に後れを取るのではなく、区民にとってより良い制度にしていくことが重要です。

 わが党はこれまで、2020年第一回定例会の小林ひろみ議員の一般質問で、補助額の増額と補聴器の現物支給を求めました。しかし金額については「現段階で妥当な額」、現物支給については「慎重に検討」と言う答弁にとどまりました。

 今年2022年、第3回定例会の渡辺くみ子議員の一般質問と、決算特別委員会で補聴器購入費助成の拡充を改めて求めたところ、区は「補聴器の活用は社会からの孤立化防止や認知症リスクを軽減する面でも大きな効果が期待できます。(中略)利用しやすい制度を確立していく必要があると考えており、助成金額の拡充についても、その一環として、現在、検討しております」と答弁しました。

 本陳情の委員会審査でも区は、対象範囲、修理費用などの課題を様々「検証、検討」していると繰り返し答弁しています。

 委員会審査では無所属の会、立憲民主は採択としましたが、公明党は「一般質問で様々要望してきたが、なかなか進んでいない」「方向性としては非常に通ずるところがある」としながらも「パッケージを含めたトータル的なもので幅広く推進してもらいたい」と継続に。

 都民ファースト・民主は「区として周知、メンテナンス含めてしっかり推進していただいて」と継続に。自民党は「一般質問で取上げ事業化していただいたことはありがたい」「拡充については是非ともお願いしたいところ」としながらも「すでに検討している状況なので検討状況を見据えて判断したい」と、結局、公明党、都民ファースト・民主、自民党が継続審査を主張しました。

 私は「どの委員もやった方がいいという意見なのになぜ継続と言う話になるのか。閉会中の継続審査のまま、来年4月の私たち議員の任期が終わったら廃案になってしまう。977名もの署名とともに提出された陳情、区民の切実な願いになぜ議会として応えられないのか。区も検証、検討をしているのだから、議会として区の政策の後押しをする姿勢をぜひ取りたい。皆さんにもそれをお願いしたい」と採択を呼びかけましたが、答えはありませんでした。

 改めて申し上げます。新型コロナの下で高齢者の外出の機会が減り、閉じこもり、孤立化が進んでいます。高齢者の積極的な社会参加や地域交流、健康増進、認知症予防を支援し、だれもが補聴器を購入しやすい、より良い助成制度にするために、議会として後押しすることが重要です。

 よって、「4陳情第34号 豊島区の補聴器購入費助成制度の拡充を求める陳情」は、ただちに採択することを求めるものです。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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