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2021年度決算の認定に反対する討論(第3回定例会)
2022.10.21

2021年度 決算 本会議討論   清水みちこ  

私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました認定第1号、2021度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、2021年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、2021年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、2021年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論します。

10月4日臨時国会が召集され、岸田文雄首相が所信表明演説を行いました。安倍晋三元首相の国葬強行や、反社会的カルト集団・統一協会と自民党との癒着などで岸田政権への国民の不信は高まっていますが、首相の演説は従来の説明を繰り返すだけで、批判に応えるものではありません。また物価高騰対策やコロナ対応も、これまでの失政への反省はなく、消費税減税など抜本的な政策へ転換する姿勢も見られません。

10月からは、後期高齢者の医療費が一定の所得を超えると2割負担となり怒りの声が寄せられています。さらに沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設強行や大軍拡・改憲を推進する立場をあらわにしたことは重大です。

自公政権の下で、暮らしも営業もますます深刻になってきています。こうした中で、住民に最も身近な区政が、国の悪政の防波堤となり、区民の命と暮らしを守ることを第一に自治体本来の役割を果たさなければならないのであります。

私たち日本共産党区議団は、本決算年度の2021年度予算審査において、コロナ禍でも深刻な区民生活を直視し、暮らし、福祉、教育等区民需要を最優先とした予算となっていない、さらに不要不急の事業を進めている等を指摘し予算に反対しました。

わが党区議団が行った定例の区民アンケートでは、「生活が苦しくなった」「苦しい状態で変わらない」を合わせると約70%を占めています。苦しい原因の一つは給与半減、副業できず収入減等が41%、年金の削減が31%等です。さらに苦しい原因の支出増は公共料金、食費、保険料、税金等となっています。区民は異常な物価高と、賃金が確保できない等、まさに2重の負担増に見舞われているという事です。こうした区民に正面から向き合い、区民の暮らしを第一に区政運営することが区長の果たす役割です。

さて2021年度決算について区は、特徴を3点、すなわち第1に感染拡大防止と社会経済活動の両立に最優先に取り組んだ決算、第2に貯金と借金のバランスで過去最大規模を達成した過去最高の決算、第3に区制施行90周年、さらには100周年に向けた準備を整えた決算としています。

渡辺議員が、一般質問でも質したように、感染拡大防止と社会経済活動の両立をあげていますが、区の独自の対策はほとんどなく、ワクチン接種と国からの補助金がほとんどです。コロナの中での区民の深刻な暮らし、区民の命を守るために最善策が打たれ、地元の商店も含めて経済の発展があったのかどうかが肝心です。

第二に、貯金と借金のバランスで過去最大規模を達成した過去最高の決算といいますが、「過去最大446億円の貯金」が強調されています。なぜこんなにも余らせたのか。

コロナにかかっても病院に搬送されないでなくなる人、コロナで商売が立ち行かず倒産に追い込まれる店、物価高で生活がますます苦しくなる低所得者、とても貯金が過去最高になったと胸を張れるのでしょうか。やるべきことをやらないでため込んだお金ではありませんか。

区民の実情からみてあまりにも、かけ離れた一般質問に対する答弁だったので、総括質問で改めて質しましたが、「依然として厳しい」と認識していながら、「住み心地」に関する調査で、その回答が91%となっていることから区の施策がしっかりと区民生活を支えているとごまかしていることがはっきりしました。

この住みやすい街とは豊島区の印象であって、同じ調査で生活実態では高齢者福祉の充実、保健医療の充実、子育て支援の充実、学校教育の充実等々生活改善への具体的要求が出されているのにそこには、触れないで住み心地で評価するのはまさにごまかしの答弁だったことは明らかです。

副区長は5年、10年先の区政運営においてもしっかり考える必要があるとの答弁を繰り返しましたが、今、目の前で困っている区民にきちんと手を差し伸べるのが区の役割であります。

わが党区議団は、今回の決算審査について、第一にコロナ禍のもと区民の命と暮らしをささえるためにやるべきことをやってきたかどうか。

第二に、区民不在、不要不急の無駄な事業をすすめていないかどうか、という大きく二つの観点で審査に臨みました。

順次、その観点から意見を述べてまいります。

◆では第一の観点、コロナ禍のもと区民の命と暮らしをささえるためにやるべきことをやってきたかどうかについてです。

●一つ目は新型コロナ対策についてです。

今年の夏の第七波では、救急車を呼んでもなかなか来ない、豊島区内で入院できるところがない、ということがあり、ひとり暮らし高齢者にとっては深刻な問題であります。

渡辺議員の一般質問で紹介した事例のように、高齢者は新型コロナ感染で容体が急変し、介護している家族がいてパルスオキシメーターで酸素濃度を測ることができたからこそ、対応ができたのです。今後はコロナに関係なく事前配布が必要ではないか、と重ねて質問しました。答弁は、陽性になったときに東京都が支給する、希望者は各家庭で備えておいてほしい、というもので、とても冷たい答弁でした。区民のいのちと健康を守るため、この程度のこともやらない姿勢は認められません。

さ らに、新型コロナ対策経費では、総額137億円のうち、金額の多いものはワクチン接種体制の確保経費53億円余、住民税非課税世帯等に対する10万円の給付:32億円余、国の「子育て世帯等臨時特別給付金」21億円ですが、これらはほぼ100%、国や都の支出金や交付金が財源です。総括質疑であきらかにしたように、一般財源はわずか6億円しかありません。

●二つ目は中小企業対策についてです。

コロナ禍の下で中小企業は厳しい状態に置かれています。

区の資料では2021年は倒産件数41件、負債額は36億円。今年2022年は8か月間で29件倒産、負債額は34億円。相変わらず厳しい状況であるということです。

特に従業員0~4人規模の企業倒産は2021年で20件、今年は8か月間で13件です。豊島区を支えている中小企業は現在も困難な中に置かれているという事です。

ところが区は民間の調査会社に景況調査を委託し、若干ではあるが景気は回復していると繰り返しています。

しかし渡辺議員が地元商店の事例をあげたように「コロナ禍で会社のテレワークが増え、お客が減っている」「会社から集団で食堂に行かないよう言われ、一人で食堂で食べるのは寂しいので弁当を買っている」等、身近なお店では今も客が減っている状況がわかります。要はコロナ禍の様々な影響がまだあるということです。

区内で営業している業者に一番身近な行政として、中小企業に寄り添い支援することこそが区の役割です。民間会社の景況調査に頼るのではなく、区自ら事業者や区民の生の声を聴き対応すべきです。

区長は決算で「2021年度はコロナ対策に137億円投入した」「感染防止拡大と社会経済活動に最優先で取り組んだ」と述べていますが、先程来指摘している通り、区独自の支出は6億2千万円。そのうち中小企業対策は、融資の利子補給と信用保証料の補助1億6000万円のみです。

わが党は家賃補助が必要と予算委員会時に「板橋区では月5万円を3か月、新宿区でも家賃補助がある」として区の支援を求めましたが、「豊島区で支援すれば10億円、30億円かかるから」いたしませんとの答弁でした。

今回改めて求めましたが「利子補給等をしている」の繰り返しで、さらに副区長は「国や都の動向をみながら、必要な支援は考える」と答弁するだけでした。

異常な円安、物価の高騰、賃金は上がらない下で、区民のくらしと中小業者の営業は大変深刻です。現局面の最大の経済対策は、消費税5%減税とインボイスの中止です。区政は区民や区内業者に一番密着しています。国や都に区民の声を要望するとともに区独自の施策の実施・拡充をすべきです。 

次に中小企業対策の中でも、特に公衆浴場対策について述べます。

区内の公衆浴場は、1975年の88か所をピークにどんどんと減り続け、10年前の2012年には32ヶ所あったのが、現在は15ヶ所、10年前と比べても半減しています。

廃業の理由は、東京都全体の過去10年間の傾向を見ると、老朽化で52件、高齢化で51件、また後継者難が29件、営業不振の廃業は9か所だということです。電気代やガス代が高騰する下で、わが党区議団は2月初旬、都議団と共に浴場組合の経営者の方からお話を伺いました。ガス燃料代については直接支援が重要だということでした。

そこで、第1回定例会で儀武議員がガス燃料代の拡充を、第2回定例会で私が公衆浴場を減らさない為に抜本的対策の強化を求める、一般質問を行いました。

やっと第2回定例会の補正予算でガス燃料代が拡充されましたが、本来、今年度当初予算で拡充すべきものでした。

10月に入り、浴場組合の代表の方から「ガス燃料代補助を来年度も継続を」の要望がだされましたが、電気代やガス燃料代が下がる見通しがない下で、継続するのは当然です。

これ以上、区内の公衆浴場を減らさないためにも、施設改修費の拡充など抜本的対策を強化すべきです。

●三つ目は、住宅対策についてです。

 「住まいは人権」です。わが党はこの立場から住み続けられる住宅対策を求め続けてきました。私も一般質問で毎回のように取り上げ、昨年2021年第4回定例会での一般質問に対し区長は「住宅は区民の皆さん一人一人の生活基盤であり、誰もが住み続けられる誰1人取り残さないSDGs未来都市を掲げる豊島区としても大変重要な要素」と答弁しています。

区民が求めているのは良質で低廉な家賃の公営住宅です。しかし区は「民間賃貸住宅のストックを有効活用していく」と区民の願いに背を向け続けています。民間賃貸住宅を利活用すると言うのであれば、家賃補助、借り上げ住宅は必須です。

しかしファミリー世帯家賃補助制度は、補助額の増額、面積基準の緩和などがされましたが、転居が条件のままです。区に来年度からの方針をただすと「現状維持」とのことでした。住宅は区民の生活の基盤というのであれば、転居を条件としない、若年層、単身者向けなど、  だれもが使いやすい家賃補助制度の創設など抜本的な拡充が必要です。

また借り上げ住宅の「安心住まい提供事業」も来年度方針は165戸の現状維持、としながら取り壊しなどで現状は161戸、新規借り上げも高齢者に対してオーナーさんの理解が進まない状態で区も苦労しています。

私との質疑の中で、区長、副区長はわが党が求め続けてきたことの重要性をようやく認識できたようで、安心住まい、家賃助成などについて前向きな答弁がありました。

しかしあまりにも遅きに失したのではありませんか。ただちに安心住まい提供事業、家賃補助制度の拡充、公営住宅の増設をすべきです。

●四つ目は、子育て支援についてです。

 未来を担う子どもたちのために手厚い施策を講じるのは区の役割です。私は議員になって以来、最も力を入れてきた、子どもの医療費の高校生までの無償化がいよいよ来年度から実施予定です。保護者の声、運動と合わせて繰り返し求め続けた成果です。また治療の一環である入院時の給食費についても高校生まで無償にするよう改めて強く求めておきます。

まず小中学校の給食費についてです。義務教育は無償が原則です。本来、国の制度として給食費無償化をすべきですが国はやろうとしません。そうした中、全国で青森市、千葉県市川市と無償化にふみきる自治体が増え、23区で初めて葛飾区が来年4月からの無償化を表明しました。

わが党、吉良よし子参院議員は国会で、学校給食法で保護者負担とされている食材費について、自治体等が全額補助することを否定していないことを1947年の事務次官通達を引き確認しています。私の質疑の中で教育委員会はこの通達について認識していることを確認しました。

給食費無償化にかかるのは年間5億3000万円。区長の政治判断でできるのです。豊島の子どもたちのために区長は決断すべきです。

さらにコロナ以前から脆弱だった大学生、専門学校生などへの支援の必要性がコロナで浮き彫りになりました。日本の教育予算はGDP比2.8%でOECD諸国最低。日本の学費

は国際的にも異常な高さで、貸与型奨学金の平均返済額は約300万円にのぼります。

区は学費負担が重いことを認識しながらも支援策は生活保護世帯に限られています。足立区の奨学金返済支援助成制度は100万円まで助成があります。

国や都の動きを座して待つのではなく、区として高すぎる学費に苦しむ大学生、専門学校生などへの学費補助、給付型奨学金などの支援をすべきです。

●五つ目は、生活保護についてです。

生活保護は憲法25条に保障された生存権、そして人間らしく生きるための権利です。この間私は生活保護制度の改善について一般質問を初め、あらゆる機会をとらえて求めてまいりました。制度の周知について一部改善したところはありますが、「扶養照会」についてHP、「生活保護Q&A」等の改善を改めて求めておきます。

この間、生活保護費は、自公政権によって段階的に削減されてきました。私が繰り返し求めてきたエアコンの設置補助が2021年度補正2号で、172世帯分1200万円余が計上されました。172世帯分の予算に実績はわずか18世帯。理由は、エアコンは不要、家屋の構造上つけられないなどと言いますが、近年の災害級の酷暑の中、高密都市の豊島区でエアコンなしで暮らせるのか、なぜ申請が少ないのかをしっかり分析して生活保護の利用者の命を守る施策を講じるべきです。わが党が求めてきた電気代補助、修理・買い替えの補助などやるべきことはあるのに、区はやろうとしません。 

さらに光熱費、食料品などの異常な物価高騰が続いています。本来、保護基準を上げなくてはならないのに国はコロナ禍にあっても保護費引き下げを行いました。物価高騰は今後も続くことが見込まれます。区民の命を守るため、区の独自加算をすべきと求めましたが、区は「国の一律の基準、区独自には上乗せしない」「臨時給付金が生活保護の対象になるのでその受給を進める」と冷たく拒否したのは認められません。

●六つ目は、障がい者施策についてです。

福祉ホームさくらんぼの大規模改修は副区長からは改修計画は大きな課題と認識している、できれば新しい戦略プランの中で方向性を示すよう努力するとのことでしたが、確実に実施するよう要望しておきます。 

問題は親なきあと対策、重度の障がい者の施設・グループホームについてです。

渡辺委員から、実例として、50代の息子さんをみている方、ご夫婦とも仕事やめてみているという方から「毎日毎日、自分が何かあったとき自分が亡くなったとき、この子は一体どうなるんだと、心配でしょうがない」との声を紹介しました。

2020年に重度障がい者施設(グループホーム)「ニーマ」が開設されました。理事者も「入所された方はもちろん、そのご家族とか同じ障害を持つ方々も希望の光、地域でこういう形で生活ができるという希望の光になった」とのことです。「豊島の人口規模の自治体であればこうした施設を将来的にはあと1ヶ所ぐらいは最低でも確保したい」との所管課の考え方も示されました。しかし運営について、また周囲のとのことなど様々課題がある、として検討していくとの答弁、具体的に時期は示されませんでした。

この問題に対しては具体的に足を踏み出していかないと実現しません。直ちに取り組むべきです。

●七つ目は、高齢者対策についてです。

先ほど新型コロナ対策でパルスオキシメーターは取り上げましたので、ここでは補聴器の購入費補助の拡充について取り上げます。

現在16区が実施、5区が2万円ですが、11区は2万円以上の支給です。新宿区は70歳以上は自己負担2000円のみ、それ以外は支給されます。本区は非課税世帯で2万円、一回限りとなっており、予算は200万円でそのうち区負担は100万円のみとなっています。

実績は21年度61件で65歳以上の高齢者の1.07%です。この間、区も認めている通り高齢者が社会参加するうえで聞こえは大事であり、社会的孤立や認知症リスクも指摘されています。補助金の拡充は検討するとの答弁ですが、早急に、実態に合う金額の拡充を強く求めるものです。

●八つ目は、防災対策についてです。

わが党は決算を行う上で区民1人1人の命をどう守るか、これが区政の第一の役割という立場で防災を取り上げました。

35か所の救援センターのひとつ南池袋小学校での訓練に渡辺議員が参加しました。

救援センターではマンホールトイレ、男性用のクワトロトイレ、地下の水道管から直接水道をつなげる、段ボールによる間仕切りの組み立てやベッドづくりなど具体的な実技が行われ、地域の方とともに訓練し、区民の方からはよかったとの感想が出されていたそうです。

しかし同時に35救援センター中10か所が救援センターとしての内容が不十分であることが明らかになりました。救援センター内には当然マンホールトイレやクワトロトイレ、水道水が出る設備等の設置が必要です。

これらに対し、副区長は「救援センターの確立の重要性は認識している。「年1校とか2校とか、そういうペースで改修を進めるという気持ちで、来年度予算編成に臨む」と答弁しました。 是非、区民の命を守ることを最優先に進めていくことを強く申し上げます。

つぎに防災対策の感震ブレーカー、家具転倒防止金具について述べます。

 コロナ禍の下、感染症を考慮し救援センターの収容人数を減らさざるを得ません。区は自宅が安全であれば「自宅避難」することを基本方針としています。豊島区防災計画、東京都防災ガイドブックに明記され、2020年第2回定例会、区長の招集挨拶でも明言しているように自宅の安全を確保するために感震ブレーカーの設置、家具転倒防止の補助用具は必須です。

感震ブレーカーは現状の火災危険度4以上の地域だけでなく、全区的な普及・啓発が必要です。2014年に廃止した家具転倒防止金具の購入補助も、斡旋数、問い合わせ数が少ないことを言い訳にせず、区民の命を守る立場に立ち切り復活すべきです。

●九つ目は、職員体制についてです。

さて、先ほど防災対策を取り上げましたが、防災危機管理課の防災担当職員は管理職を含め12人。これでは全く足りないこともはっきりしました。防災危機管理課では地域防災組織育成運営事業や区職員240名が35救援センターをそれぞれ担当するための訓練、障がい者の方々との訓練等本当に大変です。 救援センターの整備計画と課職員の増員の必要性を副区長は認めましたが、区職員を増やしたいがなかなか増えないとの答弁がありました。

この間、区は多くの職場から増員要求があり、何とか今現在2030人となった。しかしまだ足りないとのことです。これらは昨年まで区が職員削減計画をやってきたことに大きな問題があります。

次に会計年度任用職員についてです。

本区では今年2022年8月1日現在 正規職員2004人、会計年度任用職員は1761人で、正規職員との差はわずか243人という驚くべき数字が明らかになっています。

会計年度任用職員の多くは保育園、スキップ、区民ひろばなど、区民に一番身近で重要なところに配置されています。

しかしその雇用条件は、一年更新で4回更新限度、昇給制度はなし、病休も正規職員は年間90日の有給に対し、会計年度職員は5日間のみ等、雇用条件は大変厳しい状態です。

雇用条件は区により違いがありますが、希望する人は正規職員に、4年更新は撤廃し、昇給を含め雇用条件を大幅に改善するよう強く求めておきます。

以上が第一の観点です。冒頭申し上げた通り、区長は過去最大の446億円の基金残高と胸を張っていますが、以上述べたことを直ちにやるべきと指摘しておきます。

◆次に決算審査の大きな第2の観点、区民不在、不要不急の無駄な事業を進めていないかどうかについて述べます。

区長は文化や賑わい、国際アートカルチャ―都市を口実に来街者を呼び込み、池袋駅を中心とした大型開発、ハコモノづくりに莫大な税金を投入するまちづくりを進めています。

●その第一に再開発問題についてです。

本決算年度は区内で5か所の市街地再開発事業等が行われており、三か所の費用だけでも57億円です。しかも南池袋2丁目C地区では地権者がコロナ禍で家屋の立ち入り調査を拒否したため、区と組合が一方的に補償額を決定。地権者のKさんは一ヶ月以内に立ち退くよう指示され、仕方なく転居するも金額に納得できず、東京都の収用委員会に持ち込み、結果14か月後に区と組合決定額より1,800万円増の決定が下されています。補償金額がなぜこんなにも差があったのか。しかし区は1,800万円の差は知らなかった、収用委員会への手数料額が75万円もかかることも知らないと答弁。区民無視も甚だしい対応ですが、区は「法令に則った対応」と繰り返すばかりです。

C地区では区の資料によると、元の住民の44%、147人が転出、すなわち開発のため追い出されています。わが党は再開発だから反対というのではありません。区民中心の住み続けられる、街づくりを求めているのです。デベロッパー優先、区民無視の今回のような開発行為は絶対に認められません。

さらに問題なのは開発近隣地区への対応です。大型開発で近隣住民は様々な影響を受けています。しかし先日開催された建築説明会に区は出席したものの近隣住民の区への問いかけにも「お答えするものではない」と無視しました。

委員会で改めて指摘したところ、区長は「三方よしとなるまちづくり」を強調しました。そうであれば現場できちんと実践されるよう、指導すべきことを改めて強く求めます。

次に東池袋C街区についてです。

低層の住宅地になぜ12階ものビルを建てるのか。地域住民たちは低層の住宅地に合う建物をと、当然の要求をしているのです。長年住み続け、戦後の豊島区の繁栄に関わってきた区民の思いを無視する街づくりは許せません。この事業は東京都の事業ですから、都への対応を強く求めるものです。

また「西口の開発は民間がやっている」として具体的な計画内容は明らかになりません。

そもそもまちづくりは区民参加で行うものです。それであれば区民参加で十分検討すべきです。開発優先、区民無視のまちづくりは直ちに見直すべきです。

●第二は不要不急の事業の典型である、イケバスについて取り上げます。

イケバスの2021年度予算は1億4200万円余、執行額1億3200万円余。

それ以外にも、区内保育施設のイケバス活用事業に662万円余、文化観光施設回遊促進事業、アトカルツアーに387万円余、本庁舎地下の駐車場に412万円余、イケバスの関連経費は、合わせて1億4700万円余の税金を投入です。 

当初計画では、年間で180万円の黒字になると言って、スタートしましたが、今決算年度も前年度に引き続き、多額の税金投入をせざるを得ません。

昨年度は、大人運賃を200円から100円に値下げし、乗車人数は若干増えましたが、収支は一向に改善されていません。運賃100円、一日49便の通常ダイヤで計算すると、21人乗りのイケバスに1便当たり72人乗らないと収支をトントンにすることができません。

先月9/28付で「イケバス定期運航減便について」区議会各会派に文書が配布されました。内容はイケバス2台に不具合が発生し、同日付で一日49便から26便に減便というものです。さらに10/18付で新たに「イケバス定期運航の一部運休について」の文書が配布され、新たな不具合のためBルートは運休。とうとうAルートが一日10便のみの運行となってしまいました。正規の運行、1日49便をいつ再開できるのか、見通しも立たない状況です。

加えて、イケバスの耐用年数5ないし6年が迫っています。今後もバッテリーの交換や改修経費、突然の不具合などの修繕費などを考えると、ランニングコスト増は避けられません。

また、評価委員会は運行開始以来3年間、一度も開催されていません。にもかかわらず、「イケバスは走っているだけで街の価値を高める」と答弁を繰り返していますが、区民の理解は得られません。駒込在住の高齢者などから「池袋駅周辺をガラガラのイケバスを走らせるより、最寄りの駅や区役所などに接続するコミュニティバスを走らせてほしい」と要望が相次いでいます。今こそ、コミュニティバスの導入を真剣に検討すべきです。

以上のことから、一般会計決算の認定について反対するものです。

◆次に、3特別会計について述べます。

○はじめに、国民健康保険事業会計についてです。

2021年度の国民健康保険料は、所得割率で0.11%引き上げ、均等割額は800円の引下げで、単身など低所得者層は引き下がるものの、年収300万円以上は値上げでした。さらに、介護分の引上げで40歳以上子育て世代は値上げとなりました。

激変緩和措置について、当初計画で21年度は法定外繰入れを3%とするとしていたものを、新型コロナ感染拡大の影響を踏まえて、前年度と同様4%にしたことで、低所得者の保険料は下がったのです。それでも4人世帯、夫婦二人(介護非該当)と子ども二人のモデルケースでは年収400万円で43万円余と年収の一割を超える大きな負担のままとなりました。

今年度の保険料については、特別区独自の激変緩和策を措置しましたが、ほぼ全ての所得階層で値上げとなりました。今後の方針について理事者はまだ国の指数が来ていないので、現時点では「引きあがる」とのこと、このままの方針が続けばさらに値上げされるということです。今でも高い保険料がこれ以上上がったら払えなくなる、高過ぎるとの声をたくさんいただいています。保険料を下げるためには、区の法定外繰入れや、国、都の財政支出が必要です。真に命と健康を守る医療保険制度にするためには、この立場に立つことが重要です。

子どもが多いほど負担が重くなる均等割について、ようやく22年度から国は未就学児を対象に半額にする減免措置を実施しました。子育てにかかる負担を軽減するために、未就学児だけでなく小・中・高校生への補助、また全額免除をするなど拡大が必要です。

 保険料のコロナ減免についても述べます。前年度の収入に対してかかるものですから、収入が底を打ってしまうと生活は苦しいままなのに減免制度を使えないのでは、制度として不足があります。区としての対応策を聞いたところ、「丁寧に聞き取りをして、均等割の軽減措置とか、生活保護にご案内する」といつもながらの答弁でした。これでは、国民皆保険が壊れてしまいます。よって、国民健康保険事業会計決算の認定に反対します。

つぎに、後期高齢者医療事業会計についてです。

今年まさにこの10月から年収200万円以上の人から医療費2割負担が導入されました。本区では6186人、団塊の世代と言われる人が75歳になり後期高齢者数が増加しているとのことです。しかし年収200万円から2割負担は驚きです。

区の試算でも200万円収入で税金、保険料、医療費、介護サービス等を差し引くと月額13万円とのことです。区内ではアパート等では生活できないという事です。

これは大きな問題です。是非区長会等で国に意見を上げて頂きたいと思います。マスコミ等では受診抑制が起きるのではと指摘していますが、まさに高齢者を医療から遠ざける狙いかと改めて思います。また現役世代の負担減ともいわれていますが一ヶ月30円しか安くなっていないという数字も出ています。

また10月から自己負担が二割になった方から、「豊島区から『高額療養費支給事前申請書』が送られてきたが、わかりにくい」との声が寄せられています。

高齢者になり、収入が減り、病気になりやすくなるのにこのような負担増は許せないことです。よって、後期高齢者医療事業会計決算に反対します。

○最後に、介護保険事業会計についてです。

介護保険導入の際、「介護の社会化」と言われましたが、保険料や利用料の負担増など、「保険あって介護なし」の状況はますます進んでいることを、わが党は指摘してきました。

この年、介護保険料が値上げされました。そのうえ、デイサービスでは、利用者がコロナに感染するとサービスを利用できない、また職員に感染者がでると職員不足で休業せざるをえない、その結果収入が減りデイサービス施設が多く廃業しているとの声が寄せられています。高い保険料を払っても、必要な介護サービスが受けられない事態は、コロナ感染症拡大の中で、ますます深刻になっていますが、区は必要な施策をやりません。よって介護保険事業会計の認定に反対します。

以上の理由から3特別会計決算の認定に反対いたします。

以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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